会社や学会のプレゼンテーションが、O.H.Pからパソコンのパワーポイントに替わって、かれこれ6,7年になるでしょうか。その一世代前はスライド機。数十枚のスライドをパックにセットすれば、ボタンを押すだけで映像が切替わり、音声も同期するという
優れモノを初めて見た時は、“凄い装置があるものだ!”と、びっくりしたものでしたが、それも遠い過去の事…最近の技術の進歩には本当に驚かされます。
そんなことを考えていたら、小学生の低学年だった昭和三十年代の初頭、子供向けの月刊誌の付録に
「幻燈機」というモノがあったことを思い出したのでした。厚紙で箱を作り、その中に裸電球を入れて、襖の白い箇所に写した映像・・・それが、どんな画像であったかは覚えてはいませんが、鮮明ではない映像ながら~家の中に映像が写ることに、甚く感動した記憶が残っています。
“幻燈”は英語で
magic lantern と言うそうで、17世紀半ばにドイツで発明され、かなり高級な装置も造られたようです。しかし、動く映像の映画、そしてテレビの発達で、昭和三十年代の半ば頃から静止映像の幻燈は、子供の世界からも衰退して行きました。然しながら静止画は動画と異なるジャンルであり、その魅力も異にするものであると思っています。
テレビという多彩な番組を提供している映像メディアがありながら、子供達に
紙芝居が未だに人気があるのも、静止画固有の魅力が存在する所以と言えるのではないでしょうか。私が二十代の前半に関わった
影絵人形劇も、静止画(部分的には動きますが)と光の色彩を複合した映像メディアであり、画像の美しさという点では、それを超える彩光のスクリーンに出会ったことがありません。
◆今日は、ふと思い出した“幻燈”という言葉から、マジックを離れて、幼い頃や若い頃の思いに浸ってしまいました。お若い方には“お呼びで無い~”話だったかも知れませんね。掲載の写真は、昭和四十年代の中頃に、私のシナリオで製作上演した影絵人形劇の一場面です。
◆
「幻燈」と
「影絵」と
「マジック」…モノトーンでも良し、カラフルでも良し、生きた時代は異なるものの、光を巧みに利用して、映えるところが共通しているようです。