港区芝の電巧社ビル2階に「Mシアター」があります。(株)電巧社・社長の中嶋氏が自社の大会議室として使うばかりではなく、フロアーの中にステージと50人規模の段差のある客席のホールが設けられる構造に造られました。そして、外部の団体に廉価にてお貸ししているようで、色々な芸能に使われ、中嶋社長ご自身がマジック愛好家であることから、マジック関係の利用が特に多いようで、今やマジックイベントの聖地と言えるように思います。私も二週続けて「Mシアター」を訪れました。
![]() ■ 3月30日(日)は「Mシアター」で開催されたMN7主催の『第三回奇術史研究会』の講演に参加しました。 *河合 勝氏の「日本奇術(演目・資料・文献)大辞典の成果」 *森下洋平氏の「日本女性マジシャン史」(日本とジェンダー) *養老瀧之丞師の奇術ショウ(胡蝶の舞/ ファンカード/煙草/ロープ) 河合さんが纏めた大辞典は、偉大な業績であるのは間違いなく…。 今年は戦後80年。河合さんや森下さんも言われていたように思いますが、これからは戦後の日本奇術史を明らかにして行く必要があります。ただ、文献や映像には著作権が存在するので、勝手な流用は出来ませんし、現存する団体やクラブ内で発行の冊子についても同様です。MN7はこの十年代表を務めて来られた中村安夫氏から、渋谷剛一氏に代表が引き継がれたそうで、新たな視点で日本のマジック界の探索をされる事を期待しております。 ![]() ![]() 〔上記の写真は講演に参加した私を含むTAMCのメンバーと和田奈月さん〕 ■4月5日(土)は「Mシアター」で催された『AFFINARE(アフィナーレ)』の第2部を観に行きました。先の日曜日に続いての「Mシアター」で、このホールは今やマジック界に取って貴重な発表の場になっているように思います。演者は…Hiro、五太子、Ibuki、ザッキーの四人のお若い方々。そしてMCは更にお若いHISAさんでした。この公演は今年イタリアで開催されるFISMに出場の五太子、Ibukiのお二人の「壮行マジックショー」であるそうです。 とは言え、何故茨城から病気持ちが足を運んだのか?…実はFISMにチャレンジするIbukiくんは私の母校奇術部の出身者であるからでした。思えば同好会から正式なクラブに昇格したのが今から58年前、その時リーダーだった自分。学生数が少なく継続は不可能と思われる状況ながら半世紀以上続いて来ました。このことが一番のマジックなのですが、いつの日かFISMのチャレンジャーが現れないか、心の中で期待をしていたのは事実で、感激はひとしお。 FISMチャレンジャーのお二人の演技についての感想を少々。 *五大子さんは僧侶だそうで、その正装で二個のカップ&ボールを演じられました。素晴らしいテクニックを駆使した演技に感動。一つ気になったのは、ボールが大きいスポンジに替わる段。柔らかな素材でなければ更に良く。 *Ibukiくんはボタンを使った演技。見映えの良さも加わり、オリジナリティーのある不思議なマジックに大感動。何故ボタンが突如固定され?、クロスがマットに縫付けられるの?。FISM受けに、ボタンの色合いへの考慮も。 ![]() ![]() ![]() #
by ishiken55
| 2025-04-06 15:42
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中身に一通り目を通すと、トランプの「予備知識」から始まり、「基礎技法」、「応用編」、「特殊カードを使うマジック」、最後は「カードファンマジック」の章から構成され、足早に駆け抜ける全79ページ。「ユニバーサルトランプ(株)」が発売元で、編集者は「トランプ奇術研究会」と記してあるものの、人のお名前は何処にも見当たらない。 “裏付”には、初版1962年2月(昭和37年)1万部、同年10月増補4万部、1967年(昭和42年)再販1万部、1972年(昭和47年)再販1万部…と記され合計7万部。発行された時期は、私がマジックに関り始めた時期と重なり、『奇術研究』や高木重朗氏著『トランプの不思議』でカード奇術に取り付かれた時期でもあるが、当時目にしてはいない。 この冊子の70~73ページに、カードをファンに開くため、丸い鉛筆で四隅からしごき、ジンクステアレートを塗布し滑りを良くする事が記載。カードのしごきは、マジックを始めた当初、二学年上の人が、初購入のバイスクルに「通常こうするのだよ」と言って手を加えたので「やめてください!」と、その蛮行?からカードを守ったのを思い出す。 ジンクステアレートはステアリイン酸亜鉛、現在ファンカードの滑粉として売られている粉末の素材。ただ少量での販売はなく、トライした人は如何許り。なお本書の定価は100円。貨幣価値を考慮すると現在の600円程。ネットで古書検索をしてみたところ釣果無し。カード奇術書として異例の7万冊は、経時と共に姿を消したと思うと侘しさも…。 <追伸> 3月8日は私の所属マジッククラブ(TAMC)の土曜研修会に参加しました。会場はJR浜松町駅から10分程の電巧社ビル二階にある「Mシアター」。今回のゲスト講師はプロマジシャンのカズ・カタヤマ師で、ロープやシルクを用いたマジックと最後はカードマジックを三時間に亘って講習して頂きました。思えば、プロ活動30数年になるカタヤマ師がお生れになった頃に発行されたのが『百万人のカードマジック』。その価値は現在のマジック界では既に終えていると考えた方が良さそうです。 ■『百万人のカードマジック』の写真3枚と ■カタヤマ師の講習写真2枚を掲載 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() #
by ishiken55
| 2025-03-15 16:13
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この「ちいさいマジックのおうち」のブログを立ち上げたのは2005年2月3日です。故に一週間程前の2025年2月3日に20才の誕生日を迎えました。当時ブログというネットの書込みが使われ始めてから然程時間が経たない時期で、興味本意で始めたのが実状でした。1ヶ月後の記事『「ちいさいマジックのおうち」開設一ヶ月』には~
*写楽のように……突然現れて、10ヶ月の後、忽然と消える…… *そこまで持つか分かりませんが……今日はこれにて失礼します。 と気障な文章を書いています。ただ、初期の段階では20年も続けることになるとは思ってもいない事でした。最近は記事のアップが月1となってしまいましたが、マジックに関する情報やエッセイを中心にこれからも運営して行こうと思っています。 さて、今年最初の記事として記載をしました『氣賀康夫の奇術』の本の頒布は多くの方々からご所望を頂き、頒布が終了となりました。フェイスブックからが16冊、この“おうち”からが65冊で、合計81冊を頒布させて頂きました。そして最初にお求め下さったのは伊藤正博氏でした。この方は私と同世代で、お若い時に大作のカード奇術書『マスターズカードテーブル』を纏めた人です。 私は8年前、この“おうち”に『発行41年目に捲るカード奇術大冊「マスターズカードテーブル」(2017.04.19付)』を掲載しました。この本は350作品を取り上げていますが、最初の記載作品は氣賀康夫氏の「頭の働き」です。この作品は『百万人のトランプ奇術講座』と言うマイナーな冊子に掲載されたもので、その後の著書『百万人のトランプ手品』の基になった冊子のようです。『氣賀康夫の奇術』にはこの作品は取り上げておりません。 ![]() ![]() ![]() ※氣賀さんには、『氣賀康夫の奇術』に題名と概要を記した作品以外にも、多くの考案作品があります。私が『氣賀康夫の奇術』の編集を行ったノートパソコンの前の筆記立てに、氣賀さん自作の手品道具が吊るしてあります。 ![]() #
by ishiken55
| 2025-02-08 16:33
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あけましておめでとうございます。
考えたら、2025年も今日は1月13日で「成人の日」だそうです。56年も前になりますが、今でも当時の成人の日の一日のことは鮮明に憶えています。昼は中学一年生の時に一年だけ通った中学校で成人式が開催される案内が来て、出席したら知り合いが一人も居なく、寂しい思いをし、講演は作家の檀一雄さんが自宅に住むペンギンの話をされ、当時は遺作の大作『火宅の人』を書く前につき、それ程は興味を覚えず、スコスコと帰宅。直後に一つ年上の友人から「渋谷でケイコさんを交えて成人のお祝いをしよう」と誘われ、楽しい思い出になりました。その後の三人の関係を記すと、今日はそれだけの記事になってしまうので、この話は此処で打ち止めに…。 今年最初の記事は『氣賀康夫の奇術』の本の頒布のお知らせです。マジックを趣味にされている方はご存じと思いますが、氣賀康夫氏は奇術研究家として70年近くに亘り多くの作品を発表されて来られ、87才になられた現在も、弛まず奇術の研究を継続されている奇術研究者の頂きに居られる方です。 この度、東京アマチュア・マジシャンズ・クラブ(TAMC)にて、2024年12月31日付にて発行された本が『氣賀康夫の奇術』で、私(いしけん)がこの本の編集を担当しました。本はクラブ内の会員に配布されますが、外部のマジック愛好家にも価値のある本ですので、廉価にて頒布を行います。 統一した頒布代として、1冊2,500円(送料別)となりました。郵送の場合レターパックライトを使いますので、合計3,000円とさせて頂きます。また、本はA4版208ページで厚さは12ミリにつき、レターパックライトにて2冊郵送出来ますので、2冊をご所望の場合、合計で5.500円となります。 本入手のお申し込みをされます方は、コメント欄を使い「非公開コメント」にチェックを入れて、お名前、住所、メールアドレス、ご希望の冊子数等をお書きください。そのコメントは管理者である私のみが目にする事が出来ます。私から頒布の手続きにつきまして、返信メールをお入れ致します。 追伸;《頒布終了のお知らせ》2025.02.02付 この回の記事で『氣賀康夫の奇術』の本の頒布をお伝えしましたが、頒布用に準備をした本(80冊)全てを希望者にご送付致しました。本日2月2日午後1時を持ちまして、本の頒布を終了させていただきます。 なお、1月26日にご所望のコメントをお寄せくださった兵庫県にお住まいのお二人は、メールアドレスの記載がありませんでしたので、ご案内を送れませんでした。その内のお一人は電話番号を記載されていたので、電話をお入れし、ご案内に至りましたが、もう一人の方は連絡が出来ませんでした。 《掲載の写真は以下の通り》 *本の表紙 ![]() *本の外観 ![]() *目次1(個人の名前は伏字に…) ![]() *目次2(全体の2/3は作品集で、11項に氣賀氏の秘蔵の文章) ![]() #
by ishiken55
| 2025-01-13 15:25
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忌まわしい新型コロナの禍からやっと抜け出した2024年(平成六年)、世の中は活気を取り戻した一年であったと思います。この一年、私・いしけんがマジックに携わった事などを、世情を交えながら振り返ってみようと思います。
■ 今年一年のマジック活動の内で、時間的に八割方を費やしたのは、日本の高名な奇術研究家の作品集をメインとした本の編集作業でありました。この本は2024年12月31日が発行日となっていますので、内容の告知は来年年明けと致します。歯切れの悪い書込みで申し訳なく思う反面、自分自身に取っても完成した本を見るのがとても楽しみです。 ■ 残り二割は、所属クラブ(TAMC)主催の…5月のアルカディア市ヶ谷での「家族会発表会」と10月の有楽町・朝日ホールでの「ステージ発表会」にてチャイナリング(リンキングリング)を約20年振りに演じた事でした。数年前には百円ショップのダイソーでも道具が売られたりして、余りにポピュラーな手品になったチャイナリングではありますが、新しいリングを入手したのが切っ掛けで、奥の深い演目ではないかと思うようになりました。また、昨年8月に「奇術研究29号」に記載された高木重朗氏の“陳徳山師”のリングに纏わる思いを知るにつけ、その演技の内容を知りたい思いが日増しに強くなっています。 ■ 今年のNHK大河ドラマは「光る君へ」でした。平安中期の貴族社会を舞台に、「源氏物語」の作者紫式部(吉高由里子さん演じるまひろ)と、その時代に長く左大臣として公家皇族の頂点に立ち権勢を揮った藤原道長(柄本佑さんも好演)のロマンスを中心に展開されるドラマでした。近年になく良い作品で、ほぼ全ての回を見ました。それにしても、千年前に長編小説を女性が書いた事に今更ながら驚くと共に、古文の苦手な自分は角田光代氏の現代語訳「源氏物語」を読むに至りました。同時代には「枕草子」を書いた清少納言、日記を書き残した和泉式部等々…何故この時代に女流作家が多く輩出したのか興味を覚えます。 ■ 思えば、この時代には舞踊などがあったものの、日本の表社会には手品(手妻)は未だその原型すら無い時代だったと推測します。しかし、裏社会のおいては、イカサマの原型が誕生していた可能性があります。そして時代が下り、日本は貴族から武家が中心の社会に変り、江戸時代には商人が財を成し、町中では大衆芸能としての歌舞伎が人気となりました。その時代は大道芸に過ぎなかった手妻も、文明開化を経て明治時代には手品(或い奇術)と呼ばれ大衆芸能として流行ったそうです。ただ、更に時代が進み、大正・昭和・平成…今は令和の時代。さて、現在は主にマジックと呼ばれる芸能は何処へと向かうのでしょうか。 ※それでは皆さま、良い新年をお迎えください。 *最初の写真は、今月所属クラブの研修会に… 講師として来会された日本奇術協会会長のケン正木師の演技 (日本奇術協会が誕生したの太平洋戦争が迫る昭和15年) ![]() *二枚目の写真は、「光る君へ」に触発されて… 読んだ角田光代氏の現代語訳「源氏物語1巻」の表紙と目次 (夕顔には泣かされました!) ![]() ![]() #
by ishiken55
| 2024-12-29 17:27
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