人気ブログランキング | 話題のタグを見る

「奇術種あかし」再考

昭和26年(1951年)12月に理工図書から出版された柴田直光著「奇術種あかし」。日本の奇術界に齎されてから70年が経過し、団塊世代辺りがリアルタイムでこの奇術書に接した最後尾のように思います。17年近く書き連ねて来たこの“おうち(ブログ)”内を検索したら、合計9回この本が登場し、その中7回が本の中に掲載された作品を取り上げていました。

戦後間もない時期に発行されたこの奇術書は、紛れもなく戦後の昭和から平成そして令和となった現在に至る上で、燦然と輝く名著であるとの思いを強く抱くようになりました。解説用のイラストが小野坂東氏やカズ・カタヤマ氏のインパクトのある図でないことや、カード技法のWリフトを“重ね上げ”等と表記が古臭く、価値が減じているのは確かなのでしょう。

この本の目次を基に、今も興味が尽きない作品を、各編から二つピックアップ
第1編 カードの奇術
(17)千鳥足のカード …トライアンフの現象に類似。困難技法無しで演じられる。
(26)26枚名目のカード …セットを要すが不思議さ抜群。26項組入れの洒落も。
第2編 紐の奇術
(4)不思議な結び目 …言わずもがなの名作。客を交えての演技はサロンに最適。
(14)鋏抜き …ロープを用いたマジック作品の原点。ロープ切りは次なるお部屋。
第3編 ボールの奇術
(6)二色ボール …解説文とイラストからでは掴み難いが、色変り技法として秀逸。
(7)三色ボール …カップ&ボールより質素な道具乍ら、現象に品格を有した作品。
第4編 銀貨の奇術
 本書が出版された時、日本の流通貨幣が貧弱だったためか、取上げる作品無し。
第5編 ダイスの奇術
(1)変わるダイスの目 …素朴な手品ですが、大きなダイスでやると確かに不思議。
(2)三つのダイス …天海師の作品を彷彿。日本は賭事を通しダイス文化が熟成スル。
第6編 数に関する奇術
(4)消える短冊 …面白い現象。是を元に品性と美芸を高めた作品を氣賀氏が考案。
(9)みやまくずし …奇術ではなく数の遊戯と著者は記載。しかし紛れもなく手品。
第7編 食卓の話題
(5)紙切り …初心者の手品教室に欠かせないインパクトある作品。Xmasに最適。
(13)アフガニスタンの輪 …タリバンが政権を奪回の国。民族間に平和の輪を~!
第8編 当てもの
(1)お菓子屋 …記憶力必要も実に不思議。題材を変えればどの時代にも適合可能。
(3)蘇武牧羊 …中国の古い奇術の本「中外戯法図説」が原典。漢字を用いた傑作。

この本を書かれた柴田直光氏はアマチュアのマジック研究家でした。昭和初期から急逝された昭和38年(1963年)の末まで、弛まなく奇術作品の考案・改案を続けられ、その恩恵に浴したマジック愛好家は現在も多く居られると思います。この方の業績を纏められる個人又は倶楽部がいつの日か現れることを願いつつ、今回の記事の〆と致します。
「奇術種あかし」再考_c0049409_10332274.jpg

# by ishiken55 | 2021-11-27 10:33 | マジック エッセイ | Trackback | Comments(0)

「New ワン・ツー・スリー」に触れて…

数日前、ある方のご厚意で日本奇術協会が春から刊行を始めた季刊誌「New ワン・ツー・スリー」三冊を頂戴した。大変有難く、今この冊子を拝読し過ごしている。最新第3号の表紙の右に記されている寄稿者は全て面識のある方々。それなら「自前で購入すれば良いではないか~!」と云われそうだが、ネットでの申し込みが苦手で、送付先の住所も不定(?)の輩につき、責めないで頂きたく。

新たに日本奇術協会の会長に就任されたケン正木師の本誌への意気込みが伝わって来る。紙面の編集については、改善の余地が多分にあるように素人の自分にも感じるが、未だ三冊の発行につき、今後は暫時記事が引き立つよう改善が図られて行くものと推測。尚、マジック誌には興味がない方向けに、昨年芥川龍之介の散文「蜻蛉(とんぼ)」に触発され、65年前を思い出して書いた文章を転載。

小学二年生だった秋の彼岸の頃、両親と兄の四人で3キロ程離れた母の実家を徒歩で訪れた。その途中の林に“色の薄い赤蜻蛉”が群生していた。蜻蛉の前で人差指をクルクル回し、そのあと簡単に指先で蜻蛉が捕まえられた。一家四人が揃って出掛けた最後の秋の風景。

『 赤とんぼ 筑波に雲も なかりけり 』 正岡子規

『 町中や 列を正して 赤蜻蛉 』    小林一茶
「New ワン・ツー・スリー」に触れて…_c0049409_13150386.jpg
「New ワン・ツー・スリー」に触れて…_c0049409_15500140.png

# by ishiken55 | 2021-10-26 13:17 | マジック エッセイ | Trackback | Comments(0)

阿部徳蔵が記した自筆の「奇術起原の系譜文」

戦前の奇術研究家・阿部徳蔵が記した自筆の「奇術起原の系譜文」(幅16cm×長さ65cm)が手元にあり、兼ねてより何かの形で公開したいと思い…自身の懸案事項になっていました。コロナ禍にあって、マジック活動がほぼ休止状態につき、先日それを取り出し、解読しようと拡大鏡も使って試みるも、達筆な文を前に敢無く敗退。

それでも、徳蔵さんが何を考え、また何を表現しようと思って書いたのか、その思索を突き詰めてみようと、先程(判らない文字は取敢えず?や〇にして)エクセルにて書き始めてみました。未だ冒頭の部分のみですが、コロナ禍が終結する迄に形に出来ればと思います。さてさて、新規感染者が急減している今、時は足早に迫り来る。

*掲載写真;系譜文の全体 / 冒頭箇所の拡大 / 冒頭部をエクセル化した文章

阿部徳蔵が記した自筆の「奇術起原の系譜文」_c0049409_15321198.jpg
阿部徳蔵が記した自筆の「奇術起原の系譜文」_c0049409_15331486.jpg
阿部徳蔵が記した自筆の「奇術起原の系譜文」_c0049409_15334941.jpg


# by ishiken55 | 2021-09-27 15:35 | マジック エッセイ | Trackback | Comments(0)

コロナ禍での独り言(己とマジック界の先行きを愁う)

当地茨城県も今月の20日から緊急事態宣言が出されました。昨今、外での夜の飲食は控えているので、これ迄と生活が変わる訳ではないですが、自分に取って唯一の地元の文化施設である図書館が閉鎖されたのは痛い。仕方無く、コンビニで買った添付の文庫本を読んだりしています。上総国誌請西藩主・林忠崇、阿波国徳島藩主・蜂須賀茂韶の後世に興味を覚え…。

前々回の土曜日の午後、バイスクルに乗って買い物に行った帰りに、駅前通りでバスを避けようとして転倒し、左膝周辺を強打。何とか立ち上がり、家に帰って擦り剝いた箇所に救急絆創膏、打撲した右膝には手持ちの湿布薬を張りました。当初は痛みが酷く、真面に歩けませんでしたが、生憎の土日で医院は休みにつき、数日様子見。新たに湿布薬を購入したりし…。

左膝の痛みは段々和らぎ、歩行が楽になったものの、膝下の部分を触るとピリピリとした激痛があり、これは全く改善がなく、翌日整形外科を受診。また二週前に自宅の庭の芝刈りをした後、右足踵の痛みが継続。この箇所を含めて診察して貰いました。結果は両部共骨には異常はなく、多分神経がダメージを受けたためとか。「膝下の劇痛は当分治らないかも」と…!

マジッから遠ざかっているこの頃。数えても片手で済んでしまう…双方既知のプロマジシャンの方の中で、著名なお二人がコロナに感染したことを知り、驚くと同時に芸能人の置かれた厳しい状況を感じました。お二人とも回復されたようで、安堵しております。マジッククラブのT氏から送って頂いた1937年の「スフィンクス誌」を眺め~平和な世は常に束の間也や…?
コロナ禍での独り言(己とマジック界の先行きを愁う)_c0049409_15290934.jpg
コロナ禍での独り言(己とマジック界の先行きを愁う)_c0049409_15292461.jpg

# by ishiken55 | 2021-08-28 15:30 | モノローグ | Trackback | Comments(0)

コロナ禍で坂本種芳氏の「香炉と紐」の実写真が舞込む

コロナ禍で坂本種芳氏の「香炉と紐」の実写真が舞込む_c0049409_21084246.jpg昨日、二回目のコロナワクチン接種を受けました。
一回目は6月27日につき、丁度一ヶ月後での接種。
場所は花粉症でいつもお世話になっている町医院。
今のところ副反応は無で高齢を自覚せざるを得ず。
昨日の東京の感染者は2,848人、今日は3,177人。
<五輪 vs 五倫> …何やら不穏な雰囲気が日本に。

そんな日常の中で、故・坂本種芳氏が1938年に米国でアマチュア部門のスフインクス賞を受賞した「香炉と紐」の資料数点を入手しました。その中には坂本家に保存されていた坂本種芳氏の現物の写真も…。資料には、「奇術界報466号」もあり、坂本種芳氏の「香炉と紐」に対する思いが記されておりました。現在では”あの作品”はそれほど誇れるモノではないと自分自身で評価されていました。メカがその後の時代で飛躍的に進歩したのがその理由とのことでした。原案の発想を元に、現代版「香炉と紐」にチャレンジしたい思いも沸いて来ます。
コロナ禍で坂本種芳氏の「香炉と紐」の実写真が舞込む_c0049409_21093990.jpg
コロナ禍で坂本種芳氏の「香炉と紐」の実写真が舞込む_c0049409_21102440.jpg

# by ishiken55 | 2021-07-28 21:14 | マジック エッセイ | Trackback | Comments(0)