「ネタ」 と 「タネ」(藤沢周平氏の作品より)

このところ藤沢周平の文庫本を散歩の時に小バックに入れて出掛けています。「蝉しぐれ」のような長編ではなく、散歩の途中の休憩時に30分程で読み切れる短編集を選んでいるので、1日に1作、1週間で約1冊、3ヶ月経つので早10冊を読み終えました。日頃の読書は古典中心なのですが、武士の切ない運命的な敵討ちや商人の人情話に思わず涙腺が緩む藤沢周平さんの作品も、それなりに面白いです。

先日、その文庫本の一つ『霜の朝』の中の「密告」という作品を読んでいて、ちょっと引っかかる言葉がありました。それは~「(岡っ引きの手下の)磯六がやっていた仕事はお前も知っている通りだ。そして俺の親父が、助六の持ってくるネタを買っていた」(新潮文庫P139)~のセリフ文にあった“ネタ”と言う単語です。

ネタはタネ(種)の倒置語ですが、この言葉が江戸期に使われていたのか疑問に思いました。そこでGoogleで調べてみましたら、江戸で「鮨のネタ」と言う表現は使われていたことが分かりました。多分そこから、事件のネタ、マジックのネタ、等の使い方へ時代を追って発展したのではないかと思われます。ですから、この言葉を江戸の岡っ引きが使っていたかは疑問ですが、これ以上の詮索は止めておきましょう。

何故こんな事に拘るかと言いますと、ネタという言葉が好きではないからです。特にマジック・手品関係で使われる〝ネタ”という表現には嫌悪感すら覚えます。柴田直光氏の名著『奇術種あかし』のように、マジックではタネ(種)を使って欲しいと思っています。これは・・最近の無い道具に拘るシニア世代のアマチュアマジシャンの独り言ですけれど・・。

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「ねた」を手元の広辞苑で調べてみました。

 「たね(種)」を逆さ読みした隠語。
  ① 新聞記事などの材料。 (―を探す)
  ② 犯罪の証拠。 (―があがる)
  ③ 道具。特に手品などの仕掛け。
  ④ 料理などの材料。 (鮨の―)
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by ishiken55 | 2013-09-12 21:09 | 文芸 エッセイ | Trackback | Comments(0)
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