最近入手した三冊の奇術古書を読んで思うこと。

今月に入り三冊の奇術古書を入手しました。それを読んで思ったことを少々書こうと思います。ただ…古書と云ってもそれほど古い本ではなく、一番古いものでも私の出生後ですし、一番新しいのは私がマジックを初めてから11年後に発行された本です。希少な本もあり、又入手しようと思えば容易に入手出来る本もありの混合書ながら、この三冊は明治から昭和に掛けての日本の奇術(マジック)界のあゆみを理解するのに大いに役立ちました。その奇術古書とは・・

秦豊吉氏著 『明治奇術史』    昭和27年 私家本として三百部発行
藤瀬雅夫氏著『手品と奇術の遊び方』昭和32年 一般図書で大泉書店発行
松旭斎天洋氏著『奇術と私』    昭和51年 (株)テンヨーより発行

の元になった原稿は昭和19年に他界した奇術研究家 阿部徳蔵氏が書いたとされ、目次の前に「私の知る限りでは日本一の奇術師であった故人阿部徳蔵先生の記念に」と書かれています。題名が示すように、中身は明治期の奇術界のあゆみが書き連ねてあります。そして明治の代表的奇術師として松旭斎天一を挙げ、多くのページを割いてその業績を語っています。しかし、ここに書かれた内容の一部に誤記あるいは思い違いがあると、現代の奇術研究家により指摘されておりますが、明治時代の奇術界の動向を知る原本としての価値は高いと思います。

は戦後に広まった手品を、独学で習得できるように書かれた本と推測されます。手品の解説は、ネタもの系・スライハンド系・そしてカード奇術等が遍く書かれています。ただ、これを読んでマジックの初心者が習得するには説明不足の感は否めませんし、片やマジックの奥義を極めたい愛好家には物足りない内容かも…。私がマジックを始めた当時、この本は巷の書店に置かれていましたが買おうとの思いは涌きませんでした。この本の価値は、書中に掲載のアマチュアマジシャン列伝/巻末の奇術速習二十一講/全国アマチュア奇術グループ一覧/にあると思います。

が出版された経緯は知りませんが、出版の前年に米寿を迎えられた松旭斎天洋師は、明治・大正・昭和を…職業奇術師として、奇術道具の製造販売主として、また優秀な手品師の師匠として存し…その足跡は偉大。生前にこの本が纏められた意義は大きいかったと感じます。著者は天洋師となっていますが、文章の作成には、ご子息や関係者の多大なご助力があったものと思われます。かの初代引田天功師や現在も現役でご活躍の島田晴夫師は天洋師のお弟子さんですし、現在の日本の手品道具販売の最大手テンヨーの元祖であることを思うと、畏敬の念が~。

さて、この三冊の奇術古書を読み終え・・・
職業奇術師(プロマジシャン)を頂点にして
左に奇術研究家(マジッククリエータ) 右に奇術愛好者(アマチュアマジシャン)
のトライアングルが,正形であるのが理想のマジック界であるように感じました。

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by ishiken55 | 2016-05-21 17:39 | マジック エッセイ | Trackback | Comments(0)
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