93年前の「チャリティー マジック公演」に思いを寄せて

5月に発生した熊本地震では今でも多くの方が避難生活をしておられると聞きます。
5年前の東日本大震災、21年前の阪神淡路大震災での被害の甚大さは、自分の目で見ているので大地震の恐ろしさは体に染みついています。私が生まれる前にも、多くの大地震が繰り返し発生しているそうで、自分の親の世代が体験した大地震としては、93年前…大正12年9月1日の関東大震災になるでしょう。その大震災の二ヶ月後に、震災孤児救済のためのマジック公演が催されていたことを最近知りました。

その公演のタイトルは~『阿部氏 科学的マジック試演大会』
主催は~『震災孤児救済 阿部氏科学的マジック研究後援会』
そして公演の出演者はアマチュアマジシャンの阿部徳蔵氏、後援会の代表は徳川義親侯爵(尾張徳川家19代当主)でした。その折の案内状と番組表と入場券が今手元にあります。入場券は5枚あり、開催日と開催場所は次のように記されています。

 11月12日;中之島中央公会堂   (弐円)
 11月16日;京都 青年会館      (弐円)
 11月17日;神戸 県議事堂      (弐円)…………00704
 11月21日;県立第一高等女学校講堂(壱円五十銭)…00416
 11月22日;商業会議所      (壱円五十銭)…00693


公演はこの5ヶ所のみであったのかは不明です。また後の2ヶ所は何れの府県なのか特定できません。しかし他の開催場所を考えれば、関西であることは確かでしょう。それにしても、関東大震災の発生から僅か二ヶ月後に、一人のアマチュアマジシャンのみの出演で、このようなチャリティー公演が行われていたことに驚くと共に、畏敬の念を強く感じた次第です。

公演場所の右にカッコで記載したのは、それぞれの入場券代です。大正12年の1円50銭~2円は、現在の貨幣価値に換算すると幾らなのだろうか?~と興味を覚え、ネットで調べてみました。週刊誌&小学校教師初任給は約四千倍、映画&相撲の入場料は約三千倍ですから、換算すると五千円~七千円(平均六千円)と推測されます。また入場料の右の数字はチケット番号のようで、主催者側が保管していたのは最後の番号と考えられます。三つの数字を平均すると約六百枚、これに入場料を掛け合わせると三百六十万円、五回の公演の合計では千八百万円となります。

大阪毎日新聞社が後援をしているので、会場費などは新聞社に負担して貰えたものと考えられますが、案内状,番組表,入場券等の製作費、会場運営のスタッフ費用、また演者の阿部徳蔵氏や司会の吉岡信敬氏の交通費と関西滞在費を差し引いたとしても、このマジック公演で現在のお金にすると千五百万円程の震災孤児救済金が捻出されたものと思われます。一世紀に近い前に、一人のアマチュアマジシャンがこのようなボランティア活動をしていたことに、所属マジッククラブ(TAMC)の一後輩として、第2代会長殿を誇りに感じた今回の資料発掘でありました。

案内状,番組表,入場券の写真を添付します。ただし案内状は長文につき判読しにくいと思いますが、ご容赦ください。
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by ishiken55 | 2016-06-22 13:46 | マジック ニュース | Trackback | Comments(0)
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