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「アードネス」 は誰?

「アードネス」 は誰?_c0049409_1312621.jpg今年の3月にペーパーバック版で手に入れたS.W. Erdnase(アードネス)著「The Expert at The Card Table」の邦訳本「プロがあかすカードマジック・テクニック」が復刊されたとの情報を得て、先月末に池袋のジュンク堂書店で、欲しいと思っていたその書を購入したのでした。

家に持ち帰り、さっそく邦訳本を読んでみましたが、どうも文章にスムースさが無く、内容の理解に難しさを感じました。訳者としては原文を出来るだけ忠実に日本語に置き換えるべく努力されたのだと思いますが、どうも原文を直訳してしまうと~著者が表現しようとした内容が伝わり難いようです。(逆に、原文を余り噛砕いて訳すと~訳者の主観が入り過ぎて原文の内容から逸脱する恐れがありますので、マジック書の翻訳は実に難しいモノです)

それにしても、この本は初版から百年の歴史がある書だそうです。
百年前と言えば、日本では明治時代の末期、夏目漱石の「それから」や永井荷風の「あめりか物語」 「ふらんす物語」が書かれた時と考えると、この書の歴史を感じますし、その書が百年後の現在も綿々と世界中のマジシャンに読み継がれているということは、この書籍の中にカードマジックの礎が綴じ込まれている証拠ではないかと思います。さて、それでは著者S.W. Erdnase(アードネス)は、どんな人物なのでしょうか?どうも、それが謎のようなのです。

◆ 原著の「序文」には、かのマーティン・ガードナーが、その人物はギャンブラーのE.S Andrews(アンドリュース)ではないかと語っています。
ガードナーの序文のごく一部を、私なりに表現してみますと・・

「私は、アンドリュースが1902年に彼の本を出版するためシカゴの印刷所に金を払い込んだ事やシカゴのイラスト画家マーシャル・D・スミスに金を支払ったことを突き止めました。幸運にもその老挿絵画家スミスが、まだシカゴで健在であることを知りました。そして彼の住いを訪ね、スミス自身から直接挿絵を描いたときの話を聞き出したのです。
『ある寒い冬の日、挿絵を描くために、アンドリュースが滞在するホテルの一室を訪れました。フェルトで覆われたテーブルの上で、如何にもギャンブラーの手付きでカードを持った彼を前に、あの本の挿絵を描いたのです』 と~。
しかし、金に困窮していたアンドリュースに、誰が原稿を編集するお金を拠出したのかは、今も謎なのです・・“その男こそ、真のアードネスなのかも知れない!”


◆ また、邦訳本の「著者あとがき」には、『S.W.Erdnase』は『E.S Andrews』のアナグラム(語句の綴り換え)であると書かれていますが・・確かに、それも真実のように思えます。

*何れにせよ“アードネス”の謎は、この本を~より人気の書にしているようです。
by ishiken55 | 2006-10-28 13:29 | マジック エッセイ | Trackback | Comments(0)
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