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「CROSSROAD-八重奏(オクテット)-」へ

昨日(3/28)は、北千住・丸井の階上「TEATER 1010」へ“ふしぎスキ実行委員会”主催の『CROSSROAD-八重奏(オクテット)-』を観に行きました。

c0049409_19738100.jpg北千住は東京のクラブへ行く時の乗換駅で、丸井内には小規模ながら東急ハンズや紀伊國屋書店があり、よく立ち寄ります。でも上層に劇場がある事を最近まで知りませんでした。客席数は従来のホールより少な目ですが、会場の造りは大変良く、後方の席でもステージが観易く、前半・後半それぞれ8名(組)ずつの演技をゆったりと観賞することができました。前置きが長くなりましたが、16演者の中から個人的に好印象のステージをピックアップしてみたいと思います。

大和田好美さん(マジシャンズクラブ仙台)の 「シルク・鳩・ゾンビ」
演じる種目が多過ぎる感はありましたが、演目の流れがきれいでした。終盤のゾンビボールでは大胆な技を取り入れていて、見応えがありました。
奥山徳子さん(東洋大学マジシャンズソサエティ)の 「シンブル」
昨年東洋大の発表会で一度拝見している演技ですが、今回は良い意味で力が抜けていて、顔の表情もにこやかで、とてもすばらしいシンブルの演技でした。
山上清利さん・郁子さん(長野マジッククラブ)の 「花のマジック」 
永山洋子さんの「捨てられて」の曲に併せて、天国に旅立たれた天使風の旦那さんと、モンロー似?の奥さんの掛合いが何ともユーモラスで、楽しめました。
外岡潤さん(東大奇術愛好会OB)の 「和傘のプロダクション」
2年前にマイナーな場で和傘の演技を見せて戴いた事がありますが、ステージのサイズにマッチしたスケールの大きい躍動感溢れる完璧な演技は、見事でした。

≪補記≫
「あれ?…感想文に何であの演技が入っていないの」との声が聞こえて来ます。多分このショーを観られた方の多くは、下記の3つの演技に感動された事と思います。そして私も正にその一人です。ただ、あの素晴らしい演技については別のショーレポートでベストマジシャンとして取り上げていますので、今回の感想は割愛しています。ご了承ください。
白鳥一座「イリュージョン」・鈴木千慧さん「四つ玉大江毅さん「マスク
最後に、栗田研さんのトークマジックと若い男女Tommy & Amyさんの絡みアクトは広い意味でのマジックの楽しさを表現、そして若松孝圭さんのダンシングケーンには独創的なアイディアが含有、それぞれ興味を引かれたことを記しておきましょう。

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by ishiken55 | 2010-03-29 19:28 | マジック ニュース | Trackback | Comments(0)

「サーストンの三原則」誕生の新事実

日本のマジック界で広く知られる…奇術を演じる時の心得「サーストンの三原則」
この三原則は20世紀初頭の米国の著名なマジシャン、ハワード・サーストン(1896-1936)の著書『Thurston’s 200 tricks you can do』の序文などを元に、マジック研究家の坂本種芳氏が日本的な箇条書きの文に表したとされる。そして、この規範の成り立ちについては、2000年(平成13年)燃焼社発行の村上健治氏著『マジック・不思議は楽し』に詳しい経緯が書かれているので、まとめの箇所の文面(142ページ)を以下に引用させていただく。

日本での「サーストンの三原則」の誕生の経過をもう一度辿ると、1926年に出版されたアメリカの『サーストンの誰でもできるマジック200』の序文から、坂本種芳著『奇術の世界』に引用され、「術者の心得十箇条」が生まれた。太平洋戦争まっただ中の1043年、昭和18年の事であった。更に、この十箇条が三項目にまとめられ、現在の形で発表されたのは坂本種芳・柳沢義胤共著の『手品特選五十題』においてであった。戦後10年たった1955年、昭和30年のことである。

村上氏によるこの記述は大筋では間違いないのですが、坂本種芳氏による『奇術の世界』の十箇条の6年前に、既に「サーストンの三原則」が条文にされていた事が判明しました。それは、1937年(昭和12年)発行の『TAMC会報』の表紙に掲載された天城勝彦(=坂本種芳氏)による「サーストンの奇術演出の三原則」です。その文章は18年後に出版された『手品特選五十題』と同一です。当時会員を通して千部配布された同人誌のこの簡潔な基本則を坂本種芳氏は気に入っておられ、戦後の著書に使われたのではないかと推測します。「サーストンの三原則」は73年後の今も日本のマジック界で脈々と生き続けています。

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1.あらかじめ演技の内容を話さない。

2.同じ奇術をその場で繰返さない。

3.種明しはしないこと。

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by ishiken55 | 2010-03-22 00:01 | マジック ニュース | Trackback | Comments(0)

カードマジック…名作の旅から

c0049409_14581.jpg≪Card Magic Item≫
・Out of This World (作者;Paul Curry)
・The All Backs (作者;Dai Vernon)
・Oil and Water (作者;Edward Marlo)
・Three Cards Monte Routine (Endfield/Vernon他)
・Everywhere and Nowhere (作者;J.N.Hofzinser)
・Aces Opener (Frank Garcia/Larry Jennings 他)

上記リストを見て、カードマジックの愛好家は名作揃いであることがお判りでしょう。でも作者名が書かれた作品を原作通りに演じている方は余りおられないのでは?

それは、独創性のある名作である事は認めていても、作品中にワンポイントのみ不自然な箇所があったり、一部の動作にテクニック上の困難さがあったりするためと思います。例えば、≪Out of This World≫で「何故途中で赤と黒のカードを入れ替えるの?」とお客に言われたら、生真面目なマジシャンは返す言葉に詰まります。

このリストは、昨年所属クラブ内で氣賀康夫氏にカードマジックの特別講習をして頂いた作品です。そして原作をそのままレクチャーされたのではなく、不自然さや困難さを解消した氣賀先生の改案に基づく作品でした。内容を公表出来ないのが残念ですが、「著名な古い絵画が最新の補修テクノにより現代の名画として蘇るような~」と言っても過言ではありません。

三番目に記載のバーノンの名作「オールバック」の改案は、東京堂出版から刊行の氣賀先生の著書『ステップアップ・カードマジック』に詳しく解説されていますので、ご参照ください。尚、原作は『Expert Card Technique』の第3版に掲載されていましたが、バーノンと編者ヒュガードとの確執により削除され、現在販売されている洋書には載っておりません。

T氏;「ところで、これらの名作に触れ、自分のレパートリーに加えられたの?」
K氏;「名作への旅は詩や曲と同様、触れる事に価値あり!」と苦し紛れの愚答。

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by ishiken55 | 2010-03-15 14:37 | マジック エッセイ | Trackback | Comments(0)

“有職故実”から思う…「仕事と趣味の継承」

c0049409_1933048.jpg3月3日の日本経済新聞文化欄に、マジシャン仲間の鈴木眞弓氏の文章が掲載されているとの事で、その記事を読ませて頂いた。マジック絡み?…と思ったら、有職故実(ゆうそくこじつ)についてのお話。有職故実とは~朝廷や武家の礼式、官職、法令、装束などに由来する古来のしきたり~を指すそうで自分には初耳の言葉。鈴木さんの父上鈴木敬三氏(1913-1992)は有職故実の研究家であり、「国史大辞典」の執筆を手がけた人物だそうだ。
昨秋、半世紀振りに著書「初期絵巻物の風物詩的研究」(吉川弘文館)が再出版されたとの事。氏は某書陵部に在籍、父君の意志を継承されて来られた。政治家の継承には怒りさえ覚えるが、学問のリレーは清々しい。

c0049409_19413894.jpg同日、プロマジシャンの上口龍生氏とご一緒に歓談をさせて頂いた坂本圭史氏は、アマチュアマジック草創期のお一人~坂本種芳氏(1898-1988)のご子息である。種芳氏はエンジニアとしても名を成した方だが、圭史氏は小売業界で重責を担われた。しかし、趣味については種芳氏を継承され、アマチュアマジシャンとして半世紀以上に亘り活動に携わって来られた。
その坂本氏から、種芳氏と圭史氏お二人の著書「超能力現象のカラクリ」を署名入りで贈呈される厚情に浴す。この本の初版は種芳翁が他界されて間もない平成2年(1990年)。親子二代での趣味の世界の共著を羨ましく思うのは、奇術愛好家として必然の事。同好者のために再刊を望みたい。
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by ishiken55 | 2010-03-08 20:15 | マジック ニュース | Trackback | Comments(2)

縦横無碍~主観と客観(哲学ではなくマジック書のお話です)

インターネット文化の到来で便利になった事の一つに…著作権が消滅した作家の小説が、電子図書館の青空文庫で読めることが挙げられます。漱石作品の殆どが此処で読めますし、阿部徳蔵氏の随筆「美術曲芸しん粉細工」なども含まれています。ただ、ダウンロードをせずに読めるXHTML版は横書きです。(ソフトを使えば‐縦書き‐変換は可能) 横書きの小説は、詩情とか情緒とかの類が透明な横縞のフィルターでろ過されてしまう感が否めず、文芸作品は矢張り縦書きが必須であると熟ゞ思います。

翻って、マジック書の場合は縦書きよりも横書きの方が著者の意図がストレートに入って来るように感じます。私がマジックに手を染め始めた'60年代は、縦書きのマジック書が断然多く、その中で、横書きの柴田直光氏著「奇術種あかし」と高木重朗氏著「トランプの不思議」は、それだけで格調の高さを感じたものです。なお最近入手した同時代の虹有社刊・安部元章氏著「トランプ手品」('56年初版・写真は'85年版)も横書きでした。最近のマジック書は縦書きよりも横書きの方が圧倒的に多くなり、“縦横無碍”が収束へ向かっているのでしょうか。

先週の地元「カードマジッククラブ」の例会で一人の会員さんから、毎月配布している例会資料の中に、分かり難い解説があると指摘されました。それは、通常の解説が演者側から見ているのに対し、客側から見た解説になっている作品でした。『せんせ~これ右上・左下などと書かれているけど、この説明では頭がゴチャゴチャになってしまって…自分で演じる向きからの図と文に書換えました』と言って、演者側から見たの図とメモを差し出しました。

その事が気になり、家に帰りクロースアップ系のマジック書籍を色々捲ってみました。多くの著書を上梓された高木重朗氏の解説の基本は演者側で、必要に応じ客側からや横からの図を使っているように見受けられます。また、アードネスの101図を調べてみたら、演者側が主ですが40図は客側からのモノです。当世一般向けの図書として出版されている本の中には、客側をベースにしている本もあります。どれが“正”と決め付ける事は出来ませんが、一人の解説文としては“主観と客観”に一貫性を持たねばと、反省の一日に相成りました。

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by ishiken55 | 2010-03-02 12:01 | マジック エッセイ | Trackback | Comments(0)