<   2018年 08月 ( 1 )   > この月の画像一覧

ダブルカットは No Good 技法なのか!?

8月18日の土曜日はマジッククラブ(TAMC)の研修会でした。今回の講師は、前半が私のウォンド、後半がMさんのカードマジックでした。所属するマジッククラブには、現会長を始め、カードマジックの達人と云える会員は、片手では零れてしまい、両手でやっと収まる程で、勿論私などは両手から零れています。そして今回カードマジックを講習されたMさんは十指の中の主要なお一人。

さて、Mさんが講習されたカードマジックは講習を受けた者だけの財産につき、ここでは公表は出来ません。ただ…講習の中で云われたあることに私は強い衝撃を受けました。それは「ダブルカットはNG技法!」と云われたことです。その場に居たカードマジック十指のお一人Sさんも、その事に相槌を打ち、「それは考案したバーノン自身も認めています」と云われました。

Mさんによると、ダブルカットは動作が不自然で、客は目に見えなくても演者が何か小細工をしたと感じるとのこと。それには私も同意します。では改良形のダブルカットはどうするかと云うと、親指側でブレイクをした右手のデックを、左手で下の部分を取り上方に置くのではなく、通常のカットと同じように右手の人差し指でデックを分けて取上げて上に重ね、2回目はブレイクの箇所で分け右手で上に重ねるとのこと。正に通常のカッタと同じ動作でブレイクの箇所をトップにコントロールする自然な動作の技法(やり方)でした。

ダブルカットがバーノンにより考案されたことで、パスの必要性が無くなったとの説明を受けたその昔。何か不自然さを感じつつも効果の偉大さの前に平伏していた50有余年でした。それは十数年前迄の40年近く、不自然さを感じつつも、現象の素晴らしさに惹かれ演じ続けて来たマルローのフォアエースでしたが、氣賀康夫氏が出版されたカードマジックの本で、4枚のカードを変則的に置くのではなく、スクエアに置いた後に下段を上方に移動して一列にする~との改案を知った時と同様の驚きと感動が、改ダブルカットにありました。
c0049409_17203949.jpg
そこで、現在のカードマジック書では、ダブルカットはどのように表現されているのか、調べてみました。私が最初に学んだ60年以上前の著書「トランプの不思議」にはダブルカットの記載があります。初版が35年前の「カードマジック事典」と33年前の「カードマジック入門事典」は、共に前書と同じ表記でした。因みに、インターネットでダブルカットを入力して調べてみましたが、若い方の記事や映像が多く、検索した範囲では、ダブルカットは皆左手で下から上にカードを2回に分け回し込むと云うバーノンのやり方でした。
c0049409_17201037.jpg
c0049409_17202721.jpg
もう一冊調べなければならない本はテンヨー社発行の加藤英夫氏著『新版 ラリー・ジェニングスのカードマジック入門』でしたが、手元に無かったので、作日私の奇術蔵書を置いている舎宅に行った折に持ち帰り、先程ダブルカットの解説箇所を読んだところです。この本の29ページに通常のダブルカットの解説文の後に、“備考”に下記ことが記されていました。
c0049409_17195102.jpg
…ダイ・バーノンが日本に来たときにこういいました。「私の最大のミスは、ダブルカットを世の中に発表したことです。」その後には著者・加藤英夫氏の補足の文章が記載されておりますが、バーノン自身がダブルカットを否定してことが窺えます。そして、ここには対案は書かれておりませんでした。Mさんが解説をされた自然な動作のやり方を、国内に広めて欲しいと思うと共に、益々出所を知りたくなりました。

注)2図は高木重朗氏著「トランプの不思議」より転載、描画は小野坂東氏。
[PR]
by ishiken55 | 2018-08-27 08:58 | カード レクチャー | Trackback | Comments(0)